サブリース契約は危険?サブリース契約のリスクを知って検討しよう
公開日:2023/07/15 最終更新日:2023/05/18
アパートやマンションの不動産投資を考えている方の中には「30年一括借り上げ」というような広告が気になる方もいるのではないでしょうか。不動産会社が一括で物件を借り上げて、家賃収入を保証する手法をサブリース契約と言います。家賃が保証されるということが魅力的に感じるサブリース契約とはどのようなものなのでしょうか。
サブリース契約とはどのような契約方法なのか
サブリース契約とは不動産投資のひとつの手法で、不動産会社が投資物件を借り上げることで投資家への家賃収入を保証することを言います。投資家にとっては、空き室がある場合でも家賃収入が得られる仕組みとして、注目を集めています。
サブリースの仕組み
不動産会社は、投資家が所有する物件を借り上げ、契約に乗っ取った賃料を投資家に支払います。そして物件の入居者を募集し、入居者から家賃収入を得る仕組みです。このような契約を結ぶことにより、不動産会社は家賃収入の中からサブリース契約の手数料を得られます。
投資家にとっては、手数料分の賃料が減額となりますが、その分、契約に基づいて管理面などのサービスを受けることができます。
サブリースが魅力的に見える理由
手数料の分が減額するとしてもサブリースが魅力的に見える理由は以下のような点です。
・無収入にならない
・物件を管理してもらえる
・税関連の雑務をまかせられる
入居者が決まっていない部屋の分も家賃収入を得られることや、物件の管理・入居者との交渉など賃貸管理を外注できるのは、賃貸経営に不慣れな投資家にとって魅力的なことでしょう。また複雑に見える税金関連の業務をまかせられる点も安心できます。
サブリース契約によって不動産オーナーが負うリスク
不動産投資をするオーナーにとって、サブリースはメリットが多いのでしょうか。サブリース契約は魅力的に見える一方で、リスクも把握しておく必要があります。
手数料や保証料
オーナーにとって収入源となる賃料から手数料や保証料が引かれることは、投資の利益が減ることを意味します。投資する際に融資を受けている場合など、減額される賃料がどの程度影響するのか、収支を明確に把握する必要があるといえるでしょう。
賃下げ圧力
サブリース契約でトラブルになりやすいのは、契約後、一定期間が経過した後の賃下げの圧力です。物件を借り上げている不動産会社は、周辺の地価の下落や環境の変化、物件の経年変化などを理由に賃下げを要求する権利を持っています。賃下げは利益の減少に直結するので、リスクは非常に高いといえます。
不利な契約内容
サブリース契約の内容は不動産会社が自由に作成できるため、オーナーが有利になることは少ないといわれています。「30年家賃保証」と謳っていても、中途解約や契約解除など「例外事項」がいくらでも設定できるのです。
オーナー側からの中途解約は解約金を請求されることも多く、一般的にオーナーの立場は弱いといえるでしょう。
消費者庁も注意喚起を行っている
サブリース契約でのトラブルは増加しており、消費者庁も注意喚起を行っています。その内容を要約すると以下の通りです。
・サブリース契約をする場合は、契約内容や将来的な賃料減額などについての説明をうけること
・国土交通省に認可を受けている業者は契約締結前に書面を交付したうえで、一定の実務経験者が重要事項として説明することが義務づけられていること
・国土交通省に認可を受けていない業者はすみやかに登録しなければならないこと
とくに気をつけるポイント
そして、とくに気をつけるポイントとして以下の内容があげられています。
・サブリース業者から不当な勧誘を受けていないか
メリットのみを伝えるような勧誘や家賃が下がらないことを断定的にいうことは、賃貸住宅管理業法第29条における、不当勧誘に当たる可能性があります。
・サブリース業者の広告にメリットのみが強調されていないか
賃貸事業のリスクを小さく見せる表示は、賃貸住宅管理業法第28条における、誇大広告に該当する可能性があります。
・契約締結前に重要事項説明を受け、締結時には書面の交付を受けたか
重要事項説明や書面の交付を行うことは、賃貸住宅管理業法の第30条、31条に定められています。
魅力的に感じてもリスク面に目を向けて考えよう
不動産投資は最近話題になることも多く、少ない資金で誰でも簡単に始められるような広告が見受けられます。サブリース契約は物件の状況によっては魅力的な点も多く、メリットももちろんあります。
一方で、不動産経営に不慣れなまま安易に契約することによって、不利になる可能性もあることを充分理解した上で契約しましょう。
まとめ
この記事ではサブリース契約について、その魅力や注意点について解説しました。サブリース契約を締結する際には、内容をしっかり把握することと、将来のリスクを見据えて収支計算する必要があります。
サブリース契約は必要以上に警戒することでもありませんが、不動産投資は最終的には自力で対策・解決しなければならないということを理解したうえで、検討することが必要といえるでしょう。